2009年08月25日

TJAR試走 北アルプス編「はじめの一歩 その5」(ビバークトレーニング 横内忠之さん)

7/31AM 145起床。
体が芯から冷えている。お湯を沸かしアルファ米を仕込み、コッヘルにスープを溶く。冷えた体の中にそれを入れる。一筋の液体が流れる感覚を実感し、体全体が始動する。
深い眠りにつける状態ではなかったが、眠くはない。疲れも取れているようだ。ずーっと濡れていたシューズに入れていた足も問題はない。今日は長丁場だ。槍ヶ岳を越える。それまではよほどのことがなければ、ビバークしない。とにかく体を徹底的に動かす日だ。
 300 五色ヶ原のキャンプ場を出発する。
山荘がやっていれば水を補給したかったが、まだ起床時間には早いようだ。
背中の水は多くはないが、ちびちびやっているので減り方は極端に少ない。スゴ乗越小屋までは全然問題ないはずなので気にせず進もう。
あっという間に鳶山。あたりは真っ暗だ。先に進むと次第に空が白んできた。
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500夜明けだ。
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越中沢岳から西側の先にある谷は雲海に覆われている。
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体は至って快調。
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天気も悪くない感じだ。良い一日になりそうだ。
スゴの頭を超え、スゴ乗越小屋へ向けて下っていると、本日一組目のパーティと会う。「早いですね」これから皆始動を始めるところだが、こちらはすでに3時間以上歩いてきている。

647 テン場を横切りスゴ乗越小屋着。
カップラーメン(400)とコーラ(300)を注文する。
そういえばツェルトなどは大休止の際に広げて乾かすって言っていたっけ。昨夜はびしょびしょで不快な思いをした。少しの時間だけでも拡げよう。Skinsロングタイツなどをザックにくくりつけ、712小屋を出る。

「お気をつけて」言葉をありがたくいただき、先を急ぐ。間山を超え北薬師岳を登って行くとライチョウ発見。雛鳥も列を作って歩いている。
909北薬師岳着。
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”ここで雨なら稜線風雨。荒天時薬師越え厳し”地形的にここは風の通り道になっているようだ。今は晴れ。
薬師岳に向けて歩を進めると、先ほどまでとは違う風を受ける感覚。
「荒れたときは、難所に変貌を遂げるのか」

少しばかり実感した。

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その6につづく・・・

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2009年08月19日

TJAR試走 北アルプス編「はじめの一歩 その4」(ビバークトレーニング 横内忠之さん)

15:35
CP3
大汝山(立山)着。3015m。5分ほど休憩した後、補給ポイントの一ノ越山荘を目指す。山荘への最後の下りに小学生の集団。こんな山深いところに小学生?。地図を見ると西に少し下った先にバスターミナルがあるではないか。そういうことか。
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16
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山荘着。カップラーメンを食しポカリを体に流す。20分休憩。歩き進む。「あれっ」 グローブをしていない。そういえば、ザックの横においたまま忘れてきたようだ。ザックをその場におき、走って戻る。今回の山旅で一番速く駆けた場面だ。なにせ空身だ。五色ヶ原山荘を目指す。
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龍王岳、鬼岳、獅子岳と名前のとおりの険しい山並みを進む。
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あたりは、これから夜を迎えようとする静寂さで帳に包まれていく。五色ヶ原山荘が見えた。
その前に人が立っており、
「泊まりですか?」「テン場をお願いしたいんですが」

「とりあえず中へどうぞ」

1900
山荘着。外の寒さとは別天地の暖かさ。ストーブからこぼれる火色が一層暖かさを演出している。ビール500mlを頼む。同い年くらいの小屋の青年()と歓談。
「その荷物でテントですか?」「ええ日本海から剱岳を越えてきました」横で聞いていた小屋の親父が 「あのレース?」ここでも日本海のキーワードが通じた。「いえレースではないんですが、そのコースをたどっています。できたら来年チャレンジしたいので」青年は興味津々で、次から次へと質問。楽しく会話をさせてもらい、テン場へ。

3張りの先着はすでに休んでいるようだ。暗闇の中にライトを照らし、雨中良さそうな場所を見つけドーム型シェルターをザックから取り出す。びしょびしょだ。濡れたシェルターに入るのはためらわれるがしかたがない。

ストーブをつけお湯を沸かす。シェルターの中が一気に暖まる。インスタントラーメンを胃袋に流し込む。体の芯から暖まる。寝支度を整えようと、Skinsのロングタイツを取り出す。こいつの筋疲労リカバリー性能はレースが終わるたびに体感している。この旅の友として欠かせないアイテムだ。

ところが、ゴアテックスのスタッフバックから取り出したそれは、しっかりと濡れている。足を入れてみるが、とてもじゃないが着られない。

生地がゴアテックスでも、縫い目の未処理や密閉できない袋では結露して当たり前。しかもこの雨だ。寝巻きにしようとしていたファイントラックの長袖スキンメッシュや靴下、シャツなどの着替えも濡れている。こんなことになるのは、これまでの未熟な経験をもってしても当然わかっていたはずだ。気の緩みだ。

仕方がないので、道中着てきた半そでのスキンメッシュにダウンジャケットを羽織2045就寝。なかなか寝付けない。しかも寒い。

寒さがじわりじわりと体を攻撃する。うとうとすると、その寒さで強烈な身震い。経験したことのない高周波でかつ大きな振幅で体が勝手に震える。それが断続的に起こる。寒さに対する体の反応だ。

よくよく考えてみれば、ごく薄のシュラフカバーの中で身にまとっているのは、上記のとおりでいかにも心もとない。そういえば ”持っている服は全て着込む” ということを言っていたっけ。

今日の明け方着ていたモンベルの長袖シャツは、スタッフバックに入れていなかったおかげで、そんなにも濡れていない。それとレインウェアを着込み再度シュラフカバーに潜り込む。寒いが、先ほどよりは、ずっとましだ。

その5につづく・・・

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2009年08月16日

TJAR試走 北アルプス編「はじめの一歩 その3」(ビバークトレーニング 横内忠之さん)

11:10
下る。ほどなくして”カニのよこばい”の案内。
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聞いた事あるけど「どんなとこ?どれどれ。」見たとたん、心拍急上昇。 「引き返そうか」自然とそんな言葉がわきあがる。どうやって進む。
鎖に手をかけたはいいが、先に見える岩場の切れ目に足を入れられない。足元を確保しないで鎖にぶら下がれとでもいうのか。ダメだ。
気を落ち着けて少し足元後ろを見ると、足が掛けられる小さな出っ張りが見えた。
頭の中でこの難所を通過するイメージができた。 「よし」 3点を確保しながら、慎重に進む。こんな緊張感は初めてだ。もっと難しい場所がこの先に待ち構えていたらどうしよう。通過しても、そんな緊張感がなかなかとれない場所だった。
 1235
剣山荘。牛丼、コーラ、水1L1400円。霧に包まれた山荘で腹を満たす。
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13:10
スタート。コース上にある広いテン場を突っ切り、真砂岳方面に向かう。
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軽快に登っていると、上から半そで短パンの中年親父が降りてくる。体格はよいが、短パンから伸びる足の艶や張りは鍛えられていることを物語っている。
同類の感じがしたのか、「どこまで行くの?」と声がかかる。話の流れで日本海から上高地まで行く話しをすると、「もしかしてあのレース?」 普通山登りに日本海はからまない。日本海は、このレースを象徴する一つの大事なキーワードとして登場する。
少しでも聞きかじったことがある者は、多分アルプス山中で日本海を聞いただけで、記憶の引き出しからこのレースのことを思い出すに違いない。 「がんばって」 先を急ぐ。

別山-剱御前の案内板。
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本来 ”残雪期キケン” と書かれた巻き道を進まなければならないのに、キケンの文字に行ってはいけない場所と思い、剱御前方面に下り真砂岳への道を探す。
変だ。あきらかにおかしい。
コンパスを確認する。正反対。絶対に違う。間違いなく先ほどの ”キケン” の巻き道ルートだ。登り返し、別の看板をよくよく見ると、真砂岳の記載がある。
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30
分ほどのロスだったが、これで済めば御の字。はやめ早めのコンパス確認を心がけよう。

その4につづく・・・
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2009年08月14日

TJAR試走 北アルプス編「はじめの一歩 その2」(ビバークトレーニング 横内忠之さん)

7/30 AM5:10
02_剣岳の石碑.JPG

北アルプス剱岳に向けて出発だ。そういえばカメラを持ってきていたのを忘れていた。とりあえず、剱岳の石碑を写す(上記)。

早月尾根に入り、FoxTrail110を取り出す。はじめてのストック体験。なんだこれは。足が軽い。こんなにも違うものか。漠然と”使えば楽なんだろうな”とは思っていたが、こんなにもとは。もともとは四足の動物。先祖がえりだ。すぐに4本足で進む感覚を得て軽快に歩を進める。雨足が強まりレインウェアを着込む。1600mのサイン。まだまだ先は長い。早月小屋まであと1kmの標識。

04_早月小屋サイン.JPG

先に進むと上から声が聞こえる。中年をとっくに過ぎた4人パーティ。
「日帰り登山だね?」TJARの中では最も大きな35Lのザック。普通の登山者には、日帰りにしか見えない。「上高地まで行きます」「.....」通じなかったかな。
ほどなくして早月小屋着。




8
15
コーラ400円。水は400/500ml。高い。馬場島で満水にしてきたので、コーラだけいただく。
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8
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剣岳にむけて腰をあげる。どんどん高度を上げると、ところどころに雪渓。しかも歩いている道の先が雪渓に覆われている。
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地図上では北に小窓尾根と剣尾根がある。コンパスを見て特徴的な地形を確認する。
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鎖場(下記写真)はあるが、どうってことなく通過する。
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剱岳にあと少し。次第に緊張に強いられる場面が続くようになる。
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途中には赤茶けた道標。
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長い年月の間、数多の登山者を案内してきた道標は、今は御役御免。

10:45
2999
CP2剱岳頂上。3000mに1m足りないこの場所で軽く食事をし、しばし休憩。
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その3につづく・・・
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2009年08月11日

TJAR試走 北アルプス編「はじめの一歩 その1」(ビバークトレーニング 横内忠之さん)

街は祭りを迎える高揚感で満ちていた。

松本駅周辺にはこれから始まろうとしている”松本ぼんぼん”を楽しもうと大勢の人並みが駅から市街地へ繰り出していた。その駅からあふれ出る高揚感の中を、別なそれを携えながら真反対に駅の上り階段の真ん中をまっすぐに見上げながら登る。


7/29 PM



忘れ物はない? 歩くときは? 寝るときは? 食べるときは? 

各行動毎にイメージしながら何度もザックの荷物の出し入れを繰り返し確認する。


準備はしてきた。先日のビバーク講習会で事前準備の不安は払拭した。あとは実践だ。鈍行列車を何度も乗り継ぎ西魚津の駅を降りる。


新興住宅街か。暗闇の中からでも真新しい瀟洒な家がそこかしこに佇まっているのがわかる。コンビニ。水を1L調達しよう。だが、Volvic1Lより、2Lの天然水が安い。背負う重さのことはおいておいて、迷わず2Lを調達。


2100を過ぎているが、これから始まる長い旅を前に腹ごしらえ。満水のハイドラパックを仕込んだザックを背負う。重い。そういえば、水を入れた状態でザックを背負っていなかった。歩を進めると程無くスタート地点。ミラージュランド着。「ここか」施錠されたゲートの脇道を海へ向かう。きたぞきたぞ。ここがスタート地点の日本海。時計は2150。手を海に置く。


さあ旅の始まりだ。


まずは、CP1の馬場島を目指す。もってきた地図が不鮮明で現在地との照合がよくできない。ゼロックスの守衛さんに道を尋ねる。

「馬場島まで行きたいのですが?」

「この時間に?」

「何時間かかると思っている?」

「4時間くらいでしょうか?」

「4時間で着くわけないよ」


先に進む。どうにも道が正しいのか不安だ。YKKの工場。また守衛さんに聞く。


「馬場島?山道だよ」

「山にいくんです」

「......」


確認した道を先に進む。どうやら、道はあっているようだ。先に進む。走ろうと思うが、9Kg近い荷物を背負うことに慣れていないせいか、ほとんど走れない。この先長いし、山への足を残しておいたほうが良いなどと、言い訳を見つけながら歩き続ける。しかし歩いても歩いても馬場島の看板は出てこない。


早月川を横切る回数などを確認しながら不鮮明な地図で現在地を確認する。こんなに歩いてきて間違えていたらどうしよう。それならそれでいいじゃないか。道程を確認するための試走でもあるのだから。


そんなことを延々と考えながら歩を進める。しばらくすると照らすライトに反射する看板が見えた。馬場島の文字。 「これを待っていたんだ!」 がぜん、元気になる。あと12km。安心感につつまれながら、時折走りを入れて先に進む。小雨。天気予報は週末まで”くもり時々雨”の予報。今回の試走は、雨中での山生活の実践でもある。


やっとやっと馬場島。


とっくに日付は変わり300ジャスト。ゼロックスの守衛さんが正しかった。9割がた歩いたのでは5時間超もしかたがない。高度を上げているはずなのに、十分な水平距離のおかげで勾配を感じさせない、きちんと走れるコースだ。背負う荷物に慣れさえすれば、1時間は短縮できそうだ。


雨足が少しずつ強まる暗闇の中を炊事場、トイレ、テントサイトを確認。サイトの一角にモンベルのドーム型シェルターを張る。山中での不測がないように下界で確認する。1時間半ほど仮眠をとる。今度は炊事。お湯を沸かしサタケのマジックライスを仕込み、スープを飲む。ここでやるべき一通りの確認はできた。忘れ物はないようだ。


02_剣岳の石碑.JPG


剱岳石碑

04_早月小屋サイン.JPG


早月小屋1km

その2につづく

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