2008年08月30日

【田中正人選手】レースを終えて

 トランスジャパンアルプスレースで目標タイム以内で完走することができた。自信はあったのだが、なにぶん長丁場のレースゆえ何が起こるかわからない。山あり谷ありのレース展開の中での目標達成の鍵は、入念に準備した行動計画表にあったと思う。 
 行動計画表に忠実に従うことで、感情や主観的な考えに囚われず冷静にマイペースを保ち、最後まで体力を温存できたことが目標達成に貢献した。
 経験に基づいた正確で緻密な計画と、その忠実な実践がどれだけ大切なことなのか実感することができた。また良い経験ができたことに感謝したい。

区間場所計画時間実走時間備考
舗装路30km馬場島0d 03h 30m0d 03h 19m 
北アルプス95.1km早月小屋0d 06h 00m0d 05h 33m 
剣岳0d 07h 45m0d 07h 00m 
剣沢小屋0d 09h 00m0d 08h 15m 
立山(大汝山)0d 10h 30m0d 09h 34m 
一ノ越山荘0d 11h 00m0d 10h 05m 
五色ヶ原山荘0d 13h 00m0d 11h 45m 
スゴ乗越小屋0d 15h 30m0d 13h 58m 
薬師岳0d 17h 30m0d 16h 18m 
太郎平小屋0d 18h 30m0d 17h 15m 
黒部五郎小舎1d 00h 00m0d 20h 58m 
三俣蓮華岳1d 01h 00m0d 22h 19m 
双六小屋1d 02h 30m1d 02h 33m2hビバーク
槍ヶ岳山荘1d 06h 30m1d 05h 19m 
槍沢ロッジ1d 08h 00m1d 06h 54m 
上高地(河童橋)1d 10h 00m1d 08h 56m 
舗装路      71.5km奈川渡ダム1d 17h 00m1d 13h 50m 
分岐1d 18h 40m1d 15h 49m 
境峠1d 19h 30m1d 17h 02m 
薮原駅1d 22h 30m1d 21h 55m2hビバーク
セブンイレブン2d 00h 00m1d 23h 54m 
木曽駒高原スキー場着2d 02h 30m2d 02h 46m 
中央アルプス30.0km木曽駒高原スキー場発2d 07h 00m2d 07h 00m3hビバーク
四合半(力水)2d 08h 00m2d 08h 08m 
七合目(避難小屋)2d 09h 00m2d 09h 24m 
八合目2d 09h 30m2d 09h 52m 
木曽駒ケ岳2d 10h 30m2d 10h 53m 
宝剣岳2d 11h 15m2d 12h 29m 
檜尾岳2d 12h 30m2d 13h 07m 
木曽殿越2d 14h 00m2d 14h 39m 
空木岳2d 14h 45m2d 15h 29m 
池山水場2d 16h 25m2d 17h 05m 
駒ヶ根高原(菅の台)2d 17h 30m2d 18h 06m 
舗装路24.5km市野瀬着2d 23h 00m3d 00h 38m 
南アルプス            100.4km市野瀬発3d 05h 00m3d 06h 20m4.5hビバーク
仙丈ケ岳3d 11h 00m3d 11h 37m 
野呂川越3d 13h 20m3d 13h 49m 
三峰岳3d 14h 50m3d 15h 37m 
熊ノ平小屋3d 15h 40m3d 16h 15m 
塩見岳3d 18h 15m3d 19h 28m 
三伏峠3d 20h 20m3d 21h 48m 
高山裏小屋3d 23h 15m4d 03h 27m2.5hビバーク
荒川岳4d 00h 45m4d 05h 06m 
荒川小屋4d 01h 15m4d 05h 34m 
赤石岳4d 02h 45m4d 07h 14m 
百間洞山の家4d 04h 00m4d 08h 21m 
兎岳4d 09h 35m4d 10h 08m 
聖岳4d 11h 50m4d 11h 20m 
聖平4d 13h 00m4d 12h 22m 
茶臼小屋4d 16h 00m4d 14h 40m 
畑薙第一ダム4d 20h 00m4d 18h 00m 
舗装路70km井川ダム5d 00h 30m5d 00h 57m1.5hビバーク
横沢5d 06h 00m5d 05h 33m 
油島(玉機橋)5d 08h 00m5d 07h 09m 
大浜海岸5d 11h 00m5d 10h 32m 

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2008年08月29日

【実行委員会】TJAR 2008 結果報告

たいへん遅くなりましたが、トランスジャパンアルプスレース 2008(TJAR 2008)の結果を、以下のように公表します。

総合順位ゼッケンNo.住所氏名年齢〔歳〕男・女ゴール〔日 時 分〕備考
 1 4群馬田中 正人 405日10時間32分男子優勝       大会新記録
 2 15千葉紺野 裕一 335日18時間20分             大会新記録
 3 9群馬駒井 研二 346日07時間57分 
 4 21神奈川飴本 義一 426日14時間35分 
 5 3東京間瀬 ちがや 416日21時間11分女子優勝
 6 13群馬田中 陽希 246日22時間55分 
 7 19東京須田 忠明 397日10時間42分 
 8 2長野飯島 浩 397日14時間21分 
 8 7愛知 岩瀬 幹生 537日14時間21分 
 9 25群馬星野 緑 347日15時間31分 
 10 23東京鈴木 基 447日15時間46分 
 11 20東京湯川 朋彦 417日17時間25分 
 11 14北海道西岡 利泰 267日17時間25分 
 12 16三重宮崎 崇徳 347日20時間11分 
 13 12東京山北 道智 217日22時間35分 
 24埼玉伊藤 奈緒 31・・・南ア/畑薙第一ダムでリタイア
 22東京実井 孝明 43・・・南ア/仙丈岳でリタイア
 26徳島平井 小夜子 45・・・中ア/駒ヶ根高原/菅の台でリタイア
 18千葉宮下 晋 36・・・中ア/宝剣岳でリタイヤ
 8埼玉 加藤 幸光 54・・・北ア/上高地でリタイア
 17長野志村 郷 35・・・DNS


田中(正)選手は、いままで自らが持つ大会記録:6日2時間00分を大幅に更新し、5日10時間32分で総合優勝(男子優勝)を成し遂げた。
田中(正)選手と一時デッドヒートを演じた紺野選手は、5日18時間20分でゴールし、総合2位となった。
彼らに続いて1週間以内にゴールしたのは、駒井選手、飴本選手、間瀬選手、田中陽希選手の4名。
この中で、間瀬選手は6日21時間11分でゴールし、女子優勝を果たした。
さらに制限日以内(8日間)にゴールしたのは、須田選手、飯島選手、岩瀬選手、星野選手、鈴木選手、湯川選手、西岡選手、宮崎選手、山北選手の9名だった。
残念ながら途中でリタイアした方は、伊藤選手、実井選手、平井選手、宮下選手、加藤選手の5名。またDNSは、志村選手だった。
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2008年08月28日

応援者 村越真さんより

お疲れさまでした。チームあじゃりの村越です。
田島利佳と村越真のブログにそれぞれ、選手のみなさんの写真がアップしてあります。
ご自由にダウンロードしてください。北アルプスでの写真と大浜です。

田島ブログ
http://rika.cocolog-nifty.com/photos/08/index.html

村越ブログ
http://shin0430.way-nifty.com/photos/traj2008/
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2008年08月27日

【ゼッケン20 湯川朋彦選手】TJAR2008に参加して

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レースと名が付いているが、これは「旅」であると僕は考えて、
TJAR2008に臨みました。冷静に考えてみると、今まで1ヶ月に400km以上走り込んだことはありませんでした。34日以上の山旅を経験したこともありませんでした。直前3週間はシンスプリントで走ることが出来ませんでした。考えれば考えるほど、不安なことで一杯だったのですが、海から海への「旅」だと考えると、不思議と心が落ち着いたのです。

 

 TJAR2008への参加は、前回大会の報告会に参加した時に、既に心に決めていました。参加する実力には遠く及ばない当時の僕でしたが、いただいた資料を読み込み、地図を買い込み、行動計画を立て始めました。それから2年近く、日々の鍛錬、アルプスでの試走を繰り返しながら、装備やウェアなどコツコツ準備を進めていました。最終的に作り上げた行動計画のゴール予想時間は、7日目の18時。しかし、正直言って自信があったのは第一関門上高地の通過まででした。

 

 スタート後、馬場島に向かう途中、流れ星が頭上を通過しました。この旅の成功を予感させるものでした。気をよくした僕は、自分の行動予定を少しずつ上回る速度で前進することが出来ました。しかし、初日の終盤には早くもウィークポイントの膝に痛みが出始めます。これをかばいながらも、何とか予定通りに行程をクリアしていくことが出来ました。これは、序盤から数名の選手が相前後して行動し、小屋では顔を合わし、また時には行動を共にすることができたことによる効果が大きいと思います。選手が、近くにいるというのは、非常に心強いものです。

 

 中央アルプスでいよいよ膝が悲鳴をあげた時には、一瞬リタイアという文字が頭をよぎりました。そんな弱い気持ちを吹き飛ばしてくれたのは、星野選手の励ましでした。長い夜道も、偶然鈴木選手と一緒になり、辛い峠道を励ましあいながら進むことが出来ました。終盤も、先行していた西岡選手に追いつき、ゴールまで共に頑張り通すことが出来ました。今回完走できた最大の要因は、いい旅の仲間に恵まれたことだと思います。加えて、お天気が比較的良かったこと。これに尽きると思います。

   太平洋に手を付き、膝を下ろした時、TJARへの出場を考え始めてからの2年間の想いと、7日間と17時間25分におよぶ濃厚な時間の中での楽しさ、辛さ、歓び、悲しみが全て凝縮されたような気がしました。そして、止め処もなく涙が流れ、太平洋に混ざり合ってゆきました。



 こういう素晴らしい旅の機会を与えてくれた岩瀬さん他実行委員会やスタッフの方々に、改めて感謝いたします。応援してくれた家族や多くの友人、行程中出会った人々にも感謝です。そして、同じ時間を共有できた旅の仲間に改めて感謝です。ありがとう。またいい旅がしたいね。

posted by TJAR at 10:19| Comment(0) | 湯川朋彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月26日

【田中陽希選手】トランスジャパンアルプスレースを終えて

P8160200.JPG

 初出場となったこのレース、経験者の話を聞くだけでその過酷さが伝わってきた。正直なところ完走する自信はあったが、不安だらけだった。アドベンチャーレーサーとして、このレースへの挑戦は必須であった。完走したものにしかわからない感動。レース前、レース中、ゴール後に感じたものの変化は激しかった。

 レース前、精神的な緊張感はスタートが近づくにつれ高まっていった。それにともなって、高揚感が出てきて、この偉大な挑戦に参加できることが嬉しくなっていた。さまざまな感情が交錯する中で最後は興奮する気持ちを抑えてのスタートなった。

 レース中(序盤)は「絶対に完走する」などと気負わずに行くことだけに努めた。先は長い、焦ってもしょうがないと言い聞かせた。以前から、レースとなると先頭に立ちたくなる性分で、周りの人のペースに惑わされやすかったのだが、岩瀬さんから事前に送られた行動計画表の予想通過タイムはペース配分がわからない僕にとっては終始心強いものとなった。北アルプスで強く感じたことは、一般登山者との接触が多く、自分のことよりも他の人を気遣うことが多いと感じた。実際に上高地まで、疲れていてもどんなときも元気よく挨拶をして、道を譲ってもらったり、応援をしてもらったりした。登山者の中には無反応で快く思ってないだろうと感じる場面もあった。山にはいろんな方が来て、それぞれのペースで山を楽しんでいる、レースだからといってその人たちがみんなすぐに道をあけてくれたり、待ってくれたりするものではなく、登山者の方の好意であると思って走らなくてはいけないと強く感じた。

 このレースでは全行程の半分がロード区間であり、初めはロード区間のほうが高低差も激しくないし、整備された道路を歩くため、楽で安全であると思っていた。しかし、山から下りてくると、最初に感じたのは、山から無事に下りられた安心感と山を後にする寂しさやむなしさであった。それと、山よりもロード区間のほうに危険が多く、身の危険を何度も感じた。せまいトンネルを通過するときに猛スピードで通過する大型トラック、最後まで足にダメージを与え続けるアスファルト道などであった。

 今回のレースで一番楽であると考えていた中央アルプスで一番苦しめられるとは想像もつかなかった。夜間走行・濃霧・風雨・極度の睡魔そして一人。このレース中一番集中し、一番多く幻覚を見ることになった。笑う小さな子供たち、女性の笑う声、鈴の音、熊に見える大木、襲い掛かる影、あるはずのない山小屋などであった。

 この時ほど、孤独を強く感じたことはなく、菅の台に到着したときに生きていることを嬉しく思ったことはなかった。

 駒ヶ根は今レース中一番の楽園に感じた。2日ぶりに山北選手に会ったときは涙が出そうだった。

 長居しすぎたため、この後の市ノ瀬までのロードは地獄を味わった。

最後のアルプス南は100キロ、現状の体の状態を見ても無事に畑薙ダムに着けるかが不安になった。しかし、歩みを止めることは出来なかった。

 南アルプスは試走もしておらず、このレースではじめて足を踏み入れるところだった。なので、レース前から南アルプスは今回一番の不安があった。山小屋が極端に少なく、標識も少ない、もちろん登山者も少なく、水場も少ない、そして、何より雷が多いという不安要素がいっぱいであった。膝の痛みが激しく南は走ることは出来なかった。淡々としたペースで太平洋を目指した。

 不思議な力が背を押した。南は終始1人であった。孤独であったが同じように太平洋を目指す選手たちが頑張っている姿が目に浮かんだ。身体的には踏ん張りどころであり、きつい南アルプスであるはずだか一番楽に感じられた。

 残念だったのは、南アルプスの雄大な景色がほとんど、ガスのせいで見ることが出来なかったことだった。そんな中でも、一度だけ雲海の切れ間から遥か遠くに富士山が薄っすらと見えたときは、感動を覚えた。

 南アルプスはどこの山小屋でも暖かく向かいいれてくれた。山小屋の人たちの心温まる笑顔やサービスに感激させられた。

 何とか2日で名残惜しくも南アルプスを後にして7日目早朝畑薙ダムを出発し、ラストスパート80キロ先のゴールを目指した。

 途中2時間半のロスをしてしまったが、目標から11時間遅れの6日と22時間55分で太平洋にたどり着きこのレースの幕を閉じた。

最後は涙・涙の感動のゴールでした。ゴール後は気が抜けて体の痛みがいっぺんに噴出した。

 今回のレースは、初め参加者はこの過酷なコースにチャレンジする挑戦者であり、選手同士はライバルだと思っていました。しかし、ゴール後は全く違うものになっていました。

 このコースに広がる自然は巨大でその力は計り知れない、その自然を相手にする、挑戦するのではなく、この苛酷な自然環境の中を走れることに感謝し、胸を借りる気持ちで走らなくてはいけないのだと感じた。さまざまな経験をさせてくれるフィールドを自然が僕たちに挑戦させてくれる機会を与えてくれているのだと強く感じたレースとなっていた。

 参加者はライバルではなく、同じ挑戦をする同志であるとレース中幾度となく感じさせられた。

 また、2年後この挑戦に参加し、自分の飛躍につなげたいと決心した。

新たな自分が発見できたこと多くの感動をありがとうございました。

posted by TJAR at 10:38| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月25日

【飴本義一選手】レースを終えて

初めてのトランスジャパンアルプスレースを6日と14時間35分で完走した。

エントリーを決めた時期が遅かったこともあり準備はギリギリだった。
最低限必要な装備等は揃えたが、使い方の練習やコースの研究、補給場所の確認等、十分な準備ができないまま当日を迎えた。

そのため食料は市野瀬意外での補給ができなくても大丈夫なように7日分を用意し、半分を市野瀬のデポに送った。
水は補給時は常に満タンに補給した。
無駄は多いが仕方ない。

目標は完走することだが、18日から仕事なので、17日中に自宅に戻れる時間のゴールを目指してスタートした。

市野瀬まで予定通り進んだ。
予想以上に調子が良く、どんどん調子が上がっているようにさえ感じた。

気が付くと自分より遥かに実力のある選手に囲まれて進むようになっていた。
この刺激のおかげで集中力を維持できたのが良かったのかもしれない南アルプスを下山するまで微妙な緊張感の中での「レース」をしていることを感じながら進めた。本当に楽しい時間だった。

あとは最後のロードを残すだけ。
スタート時は今回ストックを用意しなかったことを後悔したが、その代わり、ダメージが最小になるように一歩一歩集中して歩いてきた。
南アルプスを下山してロードに出ても不思議なほど足の状態は良かった。
まだまだ走れる状態だった。
富士見峠を一気に走り抜け、6日と12時間以内のゴールを目指して最後の勝負に出た。
結果的には駄目だったが自分に出来ることは全てやったという充実した気持ちでゴールできた。

これまで参加したどのレースよりも楽しかった。
こんなレースは他に無いと思う。

選手の皆様、応援して下さった皆様、その他関係者の皆様、参考になるデータを残した下さった前回参加の皆様、そして山で街で出会った皆様ありがとうございました。

またレース中、転倒、落石、ふらつき、飛び出し等で近くにいた方にご迷惑をおかけしたかもしれませんお詫び申し上げます。

今回見つかった反省点を改善し、次回も何としても選考を突破してまたこの舞台に立ちたいと思う。
2年後まだ先のように思えるが実はそれ程時間は無い。
十分な準備をして再度挑戦したい。
posted by TJAR at 10:18| Comment(0) | 飴本義一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

【西岡利泰選手】トランスアルプス感想

 レースに参加しての感想

 8月17日17時25分、無事静岡大浜海岸にゴールすることができました。応援して下さった皆様、どうも有り難うございました。

 元々このレースに参加することを決めたのは、360°の大展望の中で走ってみたら気持ちよいだろうな、というものでした。但し、日本海から太平洋まで自分の足で継ぐ自信はさほどなく、行けるところまで行こう、と思いスタートしました。

 初日午前0時スタート。北海道からの移動もあり、不本意ながら徹夜状態でのスタートとなってしまいました。劔岳への登りで睡魔に襲われ、5分睡眠を繰り返しながら頂上へ抜けました。劔岳周辺は稜線が切り立っており、なかなか勇ましい景観でしたが、あふれかえる人にはややげんなりでした。頂上付近では鎖やら梯子やらが存分に使われており、自分がその恩恵で通過できているにもかかわらず、山を自然な形で残して欲しい思いから、残念な気持ちにもなりました。
 その先立山から上高地は、選考会で走ったルートなので、安心して走れました。眠気が強くまだ先が長いことから、この日はまだ明るいうちに五色ヶ原にてビバークすることとしました。夕日に照らされた五色ヶ原は、印象的な風景でした。1晩くらいはこのような晩があっても良いでしょう。

 2日目は上高地まで。前日一人だけ手前でビバークしたため、ほぼ一人旅でした。選考会の時よりも時間がかかり、やや焦りを感じましたが、その日のうちに上高地まで下ることができました。個人的には、黒部五郎岳のカールがお気に入りの風景です。まぶしい緑の中に小川が流れ、心が安まります。

 3日目は中央アルプスへの入り口、木曽駒高原スキー場までの移動です。舗装路の70km強なので、足へのダメージを心配していたのですが、抑えて走ったおかげもありさほどダメージは残りませんでした。但し、単調さには耐えられず、観光気分で道脇の店へはよく立ち寄りました。無添加パンや現地牧場の手作りジェラード・ソフトクリーム、名産のそば、木曽和牛…。いろいろ頂きました。気分的にはリフレッシュできました。

 4日目は中央アルプスを越えて市野瀬まで。中央アルプスは木曽駒が岳周辺は(登山客ではなく)観光客の海で、精神的に疲れました。切り立った宝剣岳の鎖場までジーパン・スニーカーで行く人がいたのは驚きでしたが、他の方から見ていると、こんなところでレースをやっている我々も同様なのかもしれません。宝剣岳を過ぎると、一転して静かな山旅になりました。この頃から前日発症した股ずれの痛みが悪化し、速度を更に抑えなければならなくなりました。ここでセーブした分最後まで体力が持つのではないかな…、と自分をだましながらゆっくり進みました。
 18時20分、中央アルプス下山。またもや観光気分で駒ヶ根の町に入りました。下山口のスキー場を出たところでまずソースカツ丼の看板を見つけたので、やや高級そうな店構えに負けず店に入りました。たいそう美味しかったです。店の外に足湯がありましたが、一度浸かるともう歩けなくなりそうなのでやめました。
 例に漏れずすき屋にも寄り、コンビニで買いだしをし、市野瀬へ向かいました。市野瀬へは、知り合いが応援に駆けつけてきてくれました。ブログへのメッセージや携帯へのメールもそうですが、応援は大変力になります。

 5日目から南アルプスです。前日の市野瀬到着が遅かったため、明るくなってから最後尾で出発しました。股ずれ対策で、ここからはタイツは脱いでしまいました。
 南アルプスは、北と打って変わって人気のない静かな山でした。天気がいまいちとあって、初日に会った一般登山者は10人にもなりませんでした。少しがんばって熊の平でビバーク。数日前からできている靴擦れが辛いですが、少し走ると痛みが麻痺するので、それでごまかしながら進みました。

 6日目は、天気が崩れると聞いていたのですが、予想を裏切り見事な晴天。ここぞとばかりにぐんぐん進みました。塩見、荒川、赤石と3000m級の山を三つ超えて、百間洞でビバークです。途中、一般登山者との会話も楽しみつつ、一緒に記念撮影をしつつでした。荒川を下る辺りで夕焼けとなりましたが、紅く染まってゆく山並みはなかなか見応えがあります。私の好きな時間の一つです。但し、その後のラテルネ行動はあまり好きではないのですが。

 7日目、南アルプス下山の日です。地図上はあまり距離がないようにみえましたが、疲れもあってたっぷり時間がかかってしまいました。最後の下山前の茶臼小屋では、食事を200円で出して下さり、大変うれしかったです。明るいうちに下山しましたが、そこからが非常に辛いロードの始まりです。皆に習い徹夜で静岡を目指しましたが、激しい眠気に襲われ、フラフラになりました。足の筋肉も限界を超えているようで、一度休憩すると棒のように堅くなります。「ここまで来れば歩き続ければゴールできるよ」と応援の方々には言われましたが、自身では半信半疑でした。途中湯川さんと一緒になり、湯川さんのペースでひっぱって頂いて、やっとゴールできる自信を持てました。8日目17時25分、静岡大浜海岸にゴールです。

 ゴールした時、大海原を目の前にしても、日本海から太平洋まで遙々やってきた実感はありませんでした。ただただ、信じられませんでした。靴に浸みてきた海水が靴擦れのキズに染み込み、非常に痛かったです。
 完走した実感は、日が経つ毎にじわりじわりと湧いてきました。

 日本アルプスは、日本の屋根だけあって雄大でした。カールが綺麗な北、短いながらも切り立っている中央、奥深さのある南とそれぞれ特徴があり、飽きがくることなく山を堪能できました。最後のロードはただひたすら辛かったですが、完走という目標のために、なんとかがんばり抜くことができました。

 私のような人間が完走できたのは、以下の点がポイントだったな、と感じます。@天気に恵まれ、連日晴天であった。A最初から完走を目標にして余裕を持ちながら進むことを心掛けた。B山中を楽しみながら進んだ。C常に前後に選手がおり、励まし合いながら進むことができた。(D熱心に応援して頂き、つまらない理由での棄権ができなくなった。)

 私の足は未だに痛みを発していますが、思い出は良い部分しか残らないようで、大変楽しかった8日間でした。一生の思い出になりました。スタッフの皆様、応援して下さった皆様、道を譲って下さった・応援して下さった登山者の皆様、どうも有り難うございました。

西岡利泰
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2008年08月21日

【山北道智選手】レースを終えて

日本海から太平洋まで、山と舗装路を自力で走破する究極のレース、 「トランスジャパン・アルプスレース」が終わった。 最年少、最下位で完走を果たした。

僕はこの隔年のレースに今回始めて参加した。
総距離は425km、制限時間は7日間+1日。
これほどまで長期にわたるレースも初めてである。

初日は8月10日、富山の早月川河口で海に触れ、午前零時にスタート。
夜が明けるころ登山口に到着し、無理なく選手を抜いていく。

先は長いので抑え目に行くと、体がとても楽だった。
初日は剣、立山、薬師岳を越えたところで4時間ほどビバーク。
翌日もからだが軽く、ほとんど疲れていない。
天気もよく、北アルプスの景色がとても気持ちよかった。
槍ヶ岳山荘に1日と10時間で到着し、カレーを食べる。
そのまま上高地に下りて、北アルプスを終えた。ここまで120kmくらい。
消耗も少なく、バスやタクシーを横目に見ながら、舗装路に突入。

仮眠を取りながら夜間に70kmを走破し、
中央アルプス玄関の木曽駒高原スキー場を2日7時間で通過。
この時点で3位についていた。実力以上のレース展開だった。

しかし、疲労は意外なところに現れた。
中央アルプスの半ばで徐々に、右目が見えなくなったのだ。
かゆくなり、目ヤニが出ると思っていたら、視界が白濁してきた。
下りでスピードが出せない。
同時に、蓄積された筋疲労やマメもスピードの低下に拍車をかけてきた。

翌日は一日かけ、南アルプスへ入る前のチェックポイントへ歩き、
デポしておいた荷物を回収する。
4日ぶりに風呂に入り、気分を一新させた。全行程の、約半分が終わった。

しかし、朝起きて愕然とした。足の裏がボロボロで歩けなかった。
マメの中にマメができ、赤い肉が見えている。一歩踏み出すたびに激痛が走る。
そこからレース後半の200kmはまさに地獄だった。
スピードを殺され、睡眠時間を削って完走を目指すことにした。
5日目は3時間、6日目は2時間半、7日目、8日目は合計して1時間も寝ていない。
両足からは膿が出て腐臭が漂い、鎮痛剤の副作用で皮膚は荒れ、
鼻をかむたび、歯磨きをする度に血が流れ出す。気味が悪くなった。
粘膜がただれて何を食べても味は感じなくなったが、
食べないと動けないので山小屋にあるものは何でも食べた。

深夜の稜線をライトひとつで走る緊張感と、
高度3000mの突風の中でも、ノンストップで継続するレース。
一瞬でも気を抜いたらすべての努力は泡と消え、崖下に落ちる。
厳しいレースだった。
景色を楽しむ余裕もなく、ひたすら地図と時計を見ながら、
夜も昼も進み続けた。一週間、一分一秒を惜しむ緊張感が続く。

苦しみもだえた南アルプスを終え、
最終日は静岡までずっと舗装路を走った。現実感がなかった。
30分毎に足と手を上げて血を巡らせないと、
体の末端がパンパンに浮腫んで固まってしまう。
もうとっくに体は限界を超えて、精神力だけが骸骨のように体を支えていた。

しかし不思議なことに、体脂肪はすぐに枯渇しても、気力だけは無限に沸いてくる。
この一週間、一度もあきらめようと思ったことはなかった。
応援と、これこそ僕が情熱を傾けて準備してきたことだからだ。

そして最終日の午後10時半、制限時間もギリギリ、失神寸前の状態で、
夢にまで見た太平洋に辿り着いた。

ゴールする浜を一度間違えるという珍プレーをかましたものの、
出迎えてくれた人達がいたのは、本当に嬉しかった。

僕のレースは最初から最後まで、不器用で、無駄に過酷だった。
もっと余裕を持って作戦を立て、レースを展開させていけば、
はるかに楽に完走できただろう。

しかし、様々な状況下で、一人でどんな判断をし、手を打つことができるか、
どれほどの力を持っているのかが、この8日間でよく分かった。
これまで参加したどんなレースを比べても、
足元にも及ばないほどつらかった。恐いものがいろいろ減った。

そしてやっぱ、楽しかった。
応援を下さった方、ありがとうございました。
posted by TJAR at 14:11| Comment(0) | 山北道智 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月20日

ブログコメントアップ遅延のお断り

このブログのサーバーseesaaは、サーバーへの負荷を軽減するため、カテゴリ及び過去ログに表示する記事の表示を制限し、一定時間後に反映するようにしております。

反映されるまで、しばらくお待ちいただきますようお願い致します。

(参照ページ)
http://blog-faq.seesaa.net/article/2105115.html
posted by TJAR at 15:29| Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ゴール時間

下記表は太平洋(大浜海岸)ゴール時間です。

順位No.名前到着時刻
14田中正人5d 10h 32m
215紺野裕一5d 18h 20m
39駒井研二6d 07h 57m
421飴本義一6d 14h 35m
53間瀬ちがや6d 21h 11m
613田中陽希6d 22h 55m
719須田忠明7d 10h 42m
82飯島浩7d 14h 21m
87岩瀬幹生7d 14h 21m
1025星野緑7d 15h 31m 
1123鈴木基7d 15h 46m
1220湯川朋彦7d 17h 25m
1214西岡利泰7d 17h 25m
1422宮崎崇徳7d 20h 11m
1512山北道智7d 22h 35m
posted by TJAR at 10:09| Comment(1) | 本戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【駒井研二選手】遅ればせながら・・・。

IMGP2219.JPG

 ゴール後、まだ頑張っている人もいるのに・・・。
後ろめたい気持ちで、ぐっすりと眠って家路に着きました。
スタート前は何のご挨拶もなく失礼致しました。
この場をかりてお礼申し上げたいと思います。
 
 special thanks
 
岩瀬さんをはじめ一緒にスタートをした皆様。
高橋香さんのご両親。
市ノ瀬デポポイント 加藤さんの奥様。
本部・ブログ公式更新作業 田中さんの奥様。
田口組長。
ヤマケイカメラクルーの面々。
NHK富山のお姉さん。
ブログを観戦して下さった皆様。
道を快く譲って下さった登山者の皆様。
各山小屋・避難小屋様。
三浦さんをはじめゴールドウィンの皆様。
谷川岳登山指導センター様。
谷川岳肩の小屋様。
藤野鍼灸治療院様。
富山市の本田家族。
砂田さん。
村越さん。
マルイ君。
りかさん。
イクチャン。
ヒデトさん。
GW寿退社須藤さん。
クラブソル坂本様。
アドベンチャーディバズ様&旦那様
ヒロロン先生。
小池ケン選手。
大自然様。
カッパクラブ様。
 
上記より
漏れている全ての皆様・・・。
 
ありがとうございました。
posted by TJAR at 07:17| Comment(0) | 駒井研二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月18日

【須田忠明】感想(完走)記

CA3A0074.JPG

一夜明け、帰りの車中でメールを打っている

写真は、レース中にかぶっていた帽子だ
出発直前に、所属する二つのクラブの名前を書き込んだ

わらじの仲間は、沢登りを主体とした山岳会で、トレランをする人は皆無である
しばらく沢から遠ざかっていたが、一段落したので、そろそろ山へ戻りたい
今更10万円の話はなかった事にしてくれとは言わないですよね、Eさん!
お金はどうでもいいけど、皆で宴会でもしましょうか?

3UPは、実家のある埼玉県飯能市にあるサイクルハウスMIKAMIのチーム名だ
レースなどで活躍する人も多く、MTBの世界では知る人ぞ知る店だ
今回、山岳路のほぼ全てとロードも全て下見を行った
上高地から木曽駒高原スキー場間だけは車だが、他はこの店で買ったMTBを利用した
最近あまり顔を出していないが、店のHPの掲示板に、自分が出場することが記載された
応援メッセージの一部は、転送されてレース中に読んだし、他にも携帯に直接メールをもらった
時間がなかったので、個々には返信をしていないが、この場を借りてお礼を申し上げたい

真ん中の自分で考えた陳腐な言葉は、どうでもいい
レースが始まって2日目くらいからずっと感じていた事がある
これだけムチャな行動を毎日続け、それでも完走出来たならば、私の体は相当丈夫だと言うことだ
自信はなかったが、食べ続ける事が出来れば歩き続ける事は出来るので、完走できるかもしれないとは思っていた
自分らしさは発揮出来たと思うし、それが予想以上の結果につながったのだと思う
丈夫な体や胃腸の強さは自分で作れるものではない
今はただ、両親に感謝したい、その一言だ

須田忠明(ゼッケン19)
posted by TJAR at 19:47| Comment(0) | 須田忠明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

応援ありがとうございました

応援をしてくださった皆様へ

オリンピックが世のニュースを制覇している時、日本でもまた20名のアスリートたちが、とてつもなく過酷なレースに挑んでいました。そして20名全員が事故なく下山する事ができました。
これも皆様の応援があったからこそです。

TJARでは、今回、初めて公式ブログにてレースをライブ中継を試みました。
選手や現地にいる関係者、また応援に駆けつけてくださった皆様より頂いた情報を、いち早くアップすることで、現地に行けない応援団に選手の状況をお知らせするためです。

北アルプスは携帯の電波が入る場所も多いのですが、南にいくに連れ、電波が入らなくなり、南アルプスではほとんど情報をアップできなくなってしまいました。ご心配された方々には大変にご迷惑をお掛けして、申し訳ございませんでした。

しかしながら、このブログはレース初日より想像以上のアクセス数を打ち出し、最終日(8月17日)はPV11146件、訪問者1022人という数字が出ました。また応援団が書き込んでくださったコメントの一部を選手の携帯に送り、孤独に痛みと戦っている選手にとっては、本当に励みになりました。

本当にたくさんの応援をありがとうございました。

TJAR公式ブログ担当者
posted by TJAR at 12:47| Comment(5) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月17日

【山北道智選手】ゴール!!

山北道智選手が、7d 22h 35m でゴール。制限時間に間に合った!

「精神力がなければ長距離のレースはできないと思った。もっと賢く作戦を持って挑めば楽にできたと思う」

トランスジャパンアルプスレース2008は、山北選手のゴールで終了となる。
この1週間、応援してくださった皆様、ありがとうございました。
posted by TJAR at 22:45| Comment(6) | 山北道智 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【山北道智選手】静岡駅

山北道智選手が、7d 20h 58mで静岡駅を通過中。

あと5kmほどだが、「歩くのが精一杯です」とのことで1時間くらい掛かりそうだ。

でも、もう少しだ。がんばれ!!
posted by TJAR at 21:02| Comment(2) | 山北道智 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【宮崎崇徳選手】ゴール!

宮崎崇徳選手が、7日間20時間11分でゴール。

「もう走りたくない!」と率直なコメント。

「なるべく疲れないように進んできたが、最後は飛ばした。肩、腰、足の裏、いろいろな所が痛いです」

お疲れ様でした!
posted by TJAR at 20:19| Comment(6) | 宮崎崇徳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【西岡利泰選手】ゴール!

西岡利泰選手も、7日間17時間25分でゴール。

「私は北海道の人間なので、日本アルプスには馴染みがないが、余裕を持って取り組めたのが良かった。しかし、最終日はマメや筋肉痛(脚が固まる感じ)で辛かったです」
posted by TJAR at 18:08| Comment(2) | 西岡利泰 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【湯川朋彦選手】ゴール!

湯川朋彦選手が西岡選手とともに、7日間17時間25分でゴール。

「今回、旅というイメージで望んだが、旅の仲間に助けられたり助けたりして、良い旅が出来ました。」
posted by TJAR at 18:04| Comment(11) | 湯川朋彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【須田忠明選手】ゴール後のコメント

「私のスピードでも、ゴール出来ました」

「やはり、山は、山でした」

「皆さん、ご声援ありがとうございました!」
posted by TJAR at 16:47| Comment(2) | 須田忠明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【山北道智選手】下瀬平付近

山北選手、7d 16h33mで下瀬平付近を通過中。

「絶対にゴールします!」

と、最後尾を激歩中。
posted by TJAR at 16:43| Comment(2) | 山北道智 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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